第 3 問   次の問い(A 〜 C)に答えよ。(配点  41)

 

 

A    次の問い(問 1・問2)の会話の       27               28       に入れるのに最も適当なものを、それぞれ下の ① 〜 ④ のうちから一つずつ選べ。

 

 

問1  Sue:     You know, Peter's birthday is coming soon.  Is everything going well for the surprise party?

          Polly:   Yes, I've already bought and wrapped his present.  Here, look.

          Sue:            27        He might walk in at any moment.

          Polly:   OK.  I'll put it away until the party.

 

① He doesn't like the color of the wrapping.                   

② I don't have the slightest idea what to buy.

③ Show him what you bought when he comes.

④ You should hide it so that he won't see it.

 

正解: ④

 

会話の流れに沿った発言を選択する問題。誕生日が近づいているピーターに内緒で計画している誕生日パーティー用のプレゼントについてスーとポリーが話をしている。

 

ピーターへのプレゼントを準備していると言ってポリーがスーにそのプレゼントを見せている。それに対するスーの発言が問題になっている。スーは設問箇所に続いて、ピーターが偶然そこに姿をあらわすかもしれないと言っている。それに対してポリーがパーティーまでそれを隠しておく、と発言していることから、秘密で用意したプレゼントを隠しておくべきだという趣旨の④が正解であると判断する。

 

スー:     ピーターの誕生日がもうすぐでしょ。サプライズパーティーの準備は順調に進んでる

    の?

ポリー: うん。プレゼントを買ってちゃんと包んであるよ。ほら、見て。

スー:     ④ 彼が見ないように隠しておいたほうがいいよ。ここにもいつ来るかわからないし。

ポリー: わかった。パーティーまでしまっておく。

 

正解以外の選択肢の意味は以下の通り。

① 彼はその包みの色は好きじゃないよ。

② 私は何を買えば良いのか検討もつかない。

③ 彼が来たらあなたが買ったものを彼に見せなさい。

 

第2問の問3と同様、"you know" で会話が始まっている。ここでは、「〜でしょ」のような意味で使われている。

 

surprise party[サプイズーリィ] (サプライズパーティー)

wrapップ]/rˈæp/ (包む)、

here/híɚ/ (ほら) 

 

※ "here" は文字通り訳すと「ここ」という場所を示す意味だが、設問の会話では相手の注意を引き、自分が持っているプレゼントを見せようとしている。相手の注意を引くために会話などでよく使う表現なので、覚えておこう。

 

walk in[ウォー(〜に入ってくる) 

at any moment[アレニウメントゥ(いつでも、いまにも) 

put it away[プリラウェ(片付ける、しまう)

don't have the slightest idea[ドンハブザスイリストゥアイディ(全く検討もつかない、なにも思い浮かばない)

 

"slight" は「わずかな」という意味。最上級で「最もわずかな」となる。

「最もわずかな考えもない」=「何も思いつかない」、「全く検討もつかない」ということ。

※ この表現は否定文のみで使うことができる。"I have the slightest idea."  のような肯定文では使わない。

 

 

問2  Diego:   Did you do the English homework?  It was difficult, wasn't it?

          Fred:      Oh!  I totally forgot about it.

          Diego:   You can do it during lunch time.

          Fred:      There's little point in even trying.         28       

          Diego:   Don't give up.  You need to pass English, right?

 

① I'm sure I can make it.                   

② It'd be a waste of time.

③ Let me see what you can do.

④ You don't want to miss it.

 

正解: ②

 

会話の流れに沿った発言を選択する問題。英語の宿題についてディエゴとフレッドが話をしている。宿題のことを忘れていたと言うフレッドに対して、今からでもやったほうが良いとディエゴが励ますが、フレッドはあきらめている。

 

ディエゴに英語の宿題のことを聞かれて、フレッドが初めてそのことを思い出す。ディエゴは昼食の時間にできると言って宿題をすることを勧めるが、フレッドはやるだけ無駄だと言ってあきらめている。その続きのフレッドの発言が問題になっている。それを受けてディエゴがなおも頑張るように促している。

 

設問箇所の前と後でディエゴが宿題をやるように促していることから、フレッドが一貫して宿題をやらないという趣旨の発言をしていることがわかる。この文脈に合うのは、②のみである。

 

ディエゴ:英語の宿題はやった?難しかったよね。

フレッド:そうだ。すっかり忘れてた。

ディエゴ:昼食の時間にできるよ。

フレッド:やってみても意味ないよ。② 時間の無駄になるだけだ。

ディエゴ:あきらめるなよ。英語で合格しなけりゃいけないんだろ。

 

正解以外の選択肢の意味は以下の通り。

① 僕は絶対にできるよ。

③ 君にできることを見せてくれ。

④ 失敗したくないだろ。

 

totallyウタリ/tóʊṭəli/ /weɪst/(すっかり)

little point inルゥーインティン(〜 にはほとんど意味が無い)

 

※ "little" の意味に注意。"a little" は「少し〜がある」という意味だが、"little" のみだと、「ほとんど〜ない」という否定の意味で使われる。

 

waste of timeウェイストブイム(時間の無駄)  

"waste"ウェイストゥ/weɪst/ (無駄) は "waist" (ウエスト、胴まわり)と同じ発音。スペリングの違いに要注意。

 

It was difficult, wasn't it? (難しかったよね。難しかったでしょ。)

※ "It was 〜, wasn't it?" は「付加疑問文」で、「〜よね」、「〜でしょ」と相手に同意を求めたり、念を押したりする表現。会話でよく使われる便利な表現なので覚えておこう。使い方には以下のような注意が必要。

 

・前半が肯定であれば後半は否定、前半が否定であれば後半は肯定

・前半で一般動詞を使っていれば後半も一般動詞、前半で助動詞を使っていれば後半も助動詞、前

半でbe-動詞を使っていれば後半もbe-動詞

・時制を前半と後半で合わせる

 

The dinner was delicious, wasn't it?  (食事がおいしかったね)

He doesn't like this color, does he?  (彼はこの色好きじゃないよね)

You can't play violin, can you?  (あなたはバイオリンを弾けないでしょ)

 

You need to pass English, right?  (英語で合格しなけりゃいけないんだろ)

※ "〜 , right?" も付加疑問文と同様に相手に同意を求めたり、念を押す表現。伝えたいことや確認したいことを言って、その後に"righ?" をつければ良いので非常に簡単で便利な表現。これも会話でよく使うので覚えておこう。

 

B    次の問い (問 1 〜 3)のパラグラフ(段落)には、まとまりをよくするために取り除いたほうがよい文が一つある。取り除く文として最も適当なものを、それぞれ下線部① 〜 ④ のうちから一つずつ選べ。

 

 

問1        29          

 

          Students in Japan are now engaging more in practical activities and less in memorization of facts in class.  Students are learning scientific principles through actual experience.  ① They do well in science in comparison with other students around the world.  ② They build electric motors using everyday goods, such as wire, magnets, and paper clips.  ③ They make ice cream by hand with salt and ice.  ④ Students say that they like the new studying style because it is practical as well as enjoyable and educational.  It is hoped that this new method will encourage students to become more interested in science.

 

正解: ①

 

パラグラフ構成を理解し、文脈に合わない文を削除する問題。英語では、明快な(straightforward) 文章構成が重要視されるため、シンプルで一貫性のある論理展開が求められる。そのため、文脈に合わないことに触れたり、話をそらすことは読み手の理解を妨げるのでやってはいけないこととされている。本問はそのような英語の文章構成を習得するための訓練となる、意義のある問題と言える。

 

英語で文章を書く際は「パラグラフ」(段落) と呼ばれる考えのまとまりによって構成する。1つのパラグラフには、1つの考え (one paragraph, one idea) を述べることが基本で、それを複数連ねてより大きなまとまった文章を構成する。1つのパラグラフは下記の3つの文、または文のまとまりによって構成される。

 

     ・topic sentence (主題文)

     ・supporting sentences (支持文)

     ・concluding sentence (結論文)

 

topic sentence は、パラグラフで何を述べるかを表した文である。そのため、そのパラグラフ内ではtopic sentence に関係のないことを書いてはならない。パラグラフの中でこの部分が一番重要である。

※ topic sentence と違う内容の文を書く場合は、別のパラグラフに分ける必要がある。

 

supporting sentences は、topic sentence で述べた内容を説明したり、具体例を挙げるなどして、読者に主張や考えなどが明確に伝わるように補強する部分である。パラグラフの中ではここが一番長くなる。

 

concluding sentence は、パラグラフ全体を簡潔にまとめる部分である。

 

「日本の学生は、授業を通して事実の暗記よりも実践的な活動に取り組んでいる」という内容の第一文が topic sentence である。以下、それを説明するsupporting sentences が続く。第二文で、学生たちは実際の経験を通して科学的な原理を学んでいるとして、その具体例が以下の文で例示されている。ところが、① の文はその文脈から外れて、世界の学生と日本の学生との能力の比較について述べている。従って、これが「取り除いた方がよい文」であると判断する。

 

③ については、予備知識がないと解答に迷うかもしれない。「塩を触媒として使うと氷の温度が低下するという化学反応を利用して、牛乳や砂糖などの原料を冷却し、アイスクリームを手作りする」ということを表現したいと思われるが、元々この現象のことを知らない人にとっては言葉足らずで理解し難いかもしれない。塩と氷だけでアイスクリームを作るのは不可能であり、非科学的である。科学の原理を学ぶこととの関連性が不明確なので、これが間違いではないかと思っても仕方ないかもしれない。

 

日本で多くの大学進学希望者が受験するセンター試験なので、今後の更なる質の向上を期待する。

  

③ の文に含まれる "with salt and ice" の"with" は「(道具として) 〜 で」、という意味なのだが、「(材料として) 〜 で」という場合も全く同じ形になる。この意味の違いは、内容や文脈によって判断するしかない。

 

※ 下記の例、2文を参照 

 

・She makes ice cream with milk and sugar. 

 彼女は (原料として) 牛乳と砂糖でアイスクリームを作る

 

・She makes ice cream with salt and ice. 

 彼女は塩と氷を (道具として) 使ってアイスクリームを作る

 

【全訳】

  日本の学生は現在、授業で実践的な活動により多く取り組んでいて、事実の暗記は少なくなっている。学生たちは実体験を通して科学的な原理を学んでいる。①彼らは科学の分野で、世界の学生と比べてよくできる。 ②彼らは針金や磁石、クリップなどの日用品を使って電気モータを作る。 ③塩と氷を使ってアイスクリームを手作りする。 ④楽しく、勉強になる上、実用的でもあるので、学生たちは新しい勉強方法が好きだと言っている。 この新しい手法で、学生が科学により一層興味を持つことが期待されている。

 

【単語】  

engage [エンイジ] /engéɪdʒ/ (〜に取り組む)、

practical[プクティカウ/prˈæktɪk(ə)l/ (実践的な、実用的な)

memorization[メムライイション/mèm(ə)rɪzéɪʃən/ (暗記)、

factファクトゥ/fˈækt/ (事実)

principle[プンスィプゥ/prínsəpl/ (原理)

experience[エクスリエンス/ekspí(ə)riəns/ (経験、体験)

comparison[コンリスン/kəmpˈærəsn/ (比較)

※ in comparison with 〜 (〜 と比較して)

 

electric motor[イクトゥリックウタ(電気モータ)

wireイヤ/wάɪɚ/ (針金)、

magnetグニットゥ/mˈægnɪt/ (磁石)

paper clipイパクップ](クリップ)、

enjoyable[インジョイアブウ/ɪndʒˈɔɪəbl/ (楽しい)

educational[エジュイショナウ/èdʒʊkéɪʃ(ə)nəl/ (教育的な)

methodソッドゥ/méθəd/ (方法)、

encourage[インレッジ/ɪnkˈɚːrɪdʒ/ (〜を励ます、促進する)

 

※ "science" の意味について

"science" は、広く「科学」全般を意味する。これには「理科」の意味も含まれるが、natural sceience (自然科学) の他、social science (社会科学)、political science (政治学) なども含まれる。必ずしも、いわゆる「理系」・「文系」という区分と一致しないので注意が必要。

 

※ "encourage" について 

"encourage" は日本語に訳しにくい単語である。「促す」、「促進する」、「励ます」、「けしかける」などの意味がある。問題文では、最後の文で下記のようにして使われている。

 

It is hoped that this new method will encourage students to become more interested in science.

 

文字通り訳すと、

 

「学生たちが科学にもっと興味を持つようになることを、この新しい方法が促進することが望まれている。」

 

となる。(誰がそれを望んでいるのか、という重要な情報は "it is hoped 〜" という受け身の形にすることで意図的に伏せられている)

 

つまり、この教育方法で学生たちが科学に興味を持つようになることを望んでいる人達がいる、という意味。

  

 

問2        30       

 

          Trial and error, an approach used in science, is often found in daily life.  It can be observed when people do not feel well.  They may already have a list of treatments they have used before.  They can also consult a medical book or check the Internet for new treatments.  They may decide to use any one of the treatments.   If the treatment does not improve the condition, they try another one.  ② They are concerned about how scientific the treatment is.  This is an example of how this approach is adopted in everyday life.  ③ In solving problems, scientists come up with more than one idea and use one of the possible options.  ④ When an idea fails, they consider the alternatives.  In this way, approaches used in science and daily life have some points in common.

 

正解: ②

 

「試行錯誤は、科学で用いられる方法であるが、日々の生活においてもしばしば見られる。」という第一文が topic sentence である。以下、それを説明するsupporting sentences が続く。第二文以下で、人々は気分がすぐれないような場面で、元々知っていた対処方法や本、インターネットで調べた方法などを試すとして、体調が悪いという日常起こりうる場面での対応と、科学での試行錯誤の共通点について話を展開している。② は、人々がその治療方法がどの程度、科学的かということを気にしている、と述べていてこれだけが試行錯誤という文脈から離れて前後とうまくつながらなくなっている。よって、これが「取り除いた方がよい文」であると判断する。

 

設問とは関係ないが、この文章の内容に反して、気分がすぐれない場面と科学における試行錯誤には決定的な違いがある。体調に異変があれば、まず専門家である医者に相談するのが最善の方法である。正しい対処方法を知っている医者の説明をよく聞き、自分に合った方法を実践するのが良い。科学における試行錯誤は、だれも答えを知らない、あるいは答えがあるかどうかも分からない状況で、仮説をたて、検証し、うまくいかなかったらその原因を究明し、新たな仮説をたて、という繰り返しになる。当然、科学の試行錯誤は失敗が多いが、体調が良くないときに失敗ばかりしていたらより深刻な事態になりかねない。あまり良い例えとは言えない。

 

【全訳】

  試行錯誤は、科学で用いられる方法であるが、日々の生活においてもしばしば見られる。人が気分がすぐれない場合にもそのようなことが見られる。彼らは過去に試したことのある治療方法を幾つか知っているかもしれない。医学書で調べたり、インターネットを検索して新たな治療法を探すこともできる。そのような方法の中からどれかをやってみるかもしれない。①もしその処置で症状が改善しなければ別の治療法を試す。 ②彼らはその治療がどの程度、科学的であるかということを気にしている。 これは、この方法が日々の生活の中でどのように取り入れられているかを示す例である。 ③問題を解決する際に科学者は複数の案を思いつき、可能な選択肢の中の一つを試してみる。 ④その案が失敗すれば、代替案を検討する。このように、科学と日常生活で使われる方法には共通点がある。

 

【単語】  

trial[トゥイアウ]/trάɪəl/ (こころみ)、

errorラ]/érɚ/ (誤り)

※ trial and error (試行錯誤) こころみと誤り → 「試行錯誤」という意味になる

approachアプウチ]/əprˈəʊtʃ/ (方法)、daily life (日々の生活、日常生活)

observeオブーブ]/əbzˈɚːv/ (〜を観察する、〜に気づく)

listストゥ]/líst/ (一覧表)

 

※ "have a list of 〜" を文字通り訳すと「〜 の一覧表を持っている」となる。設問文の中では下記のように使われている。

 

They may already have a list of treatments they have used before. 

文字通り訳すと、「彼らは以前使った治療法の一覧表をすでに持っているかもしれない」となる。ここでの "a list" は本物の一覧表ということではなく、比喩的に、「一覧表が作れるくらいの数の」(治療法) という意味。つまり、

 

「彼らはすでに実際に試したことのある治療法を (一覧表が作れるくらい) 幾つか知っているかもしれない」

 

という意味である。

 

treatmentトゥートゥメントゥ]/tríːtmənt/ (治療、治療法)

consult[コンウトゥ/kənsˈʌlt/ (〜を調べる)、

medicalディカウ/médɪk(ə)l/ (医学の)

the Internet[ズィナーネットゥ(インターネット)

※ 必ず冠詞 "the" が付き、"I" が大文字になることに注意

 

improve[インプーブ/ɪmprúːv/ (〜を改善する)、

condition[コンィション/kəndíʃən/ (体調、状態)、

concern[コンーン/kəndíʃən/ (〜に興味がある、〜を心配させる)

※ "be concerned about 〜" で、「〜 を心配している」、「〜 を気にしている」という意味

 

adopt[アプトゥ/ədάpt/ (〜を採用する、取り入れる)、

solveウブ/sάlv/ (〜を解決する)、

problem[プブラム/prάbləm/ (問題)

come up with[カップウィズ (〜を見つける、〜を思いつく)、

optionプシュン/άpʃən/ (選択肢)、

failェイウ/feɪl/ (失敗する)

consider[カンスィ/kənsídɚ/ (〜を検討する)、

alternative[オルーナティブ/ɔːltˈɚːnəṭɪv/ (代わり)

commonムン/kάmən/ (共通の)

 

 

問3        31       

 

          Food can do more than fill our stomachs −− it also satisfies feelings.  If you try to satisfy those feelings with food when you are not hungry, this is known as emotional eating.  There are some significant differences between emotional hunger and physical hunger.  ① Emotional and physical hunger are both signals of emptiness which you try to eliminate with food.  ② Emotional hunger comes on suddenly, while physical hunger occurs gradually.  ③ Emotional hunger feels like it needs to be dealt with instantly with the food you want;  physical hunger can wait.  ④ Emotional eating can leave behind feelings of guilt although eating due to physical hunger does not.  Emotional hunger cannot be fully satisfied with food.  Although eating may feel good at that moment, the feeling that caused the hunger is still there.

 

正解: ①

 

"there are some significant differences ... " で始まる第三文で「感情的空腹と肉体的空腹にはいくつか著しい違いがある」と述べているが、その直後の ① の文はその違いの具体例ではなく、感情的空腹と肉体的空腹の共通点を述べている。話の流れを壊してしまっているので、これが「取り除いた方がよい文」であると判断する。②、③、④ はいずれも感情的空腹と肉体的空腹の違いを具体的に示している。

 

設問から逸脱するが、重要なことなので指摘しておく。

この問題文はパラグラフが正しく構成されておらず、パラグラフ・ライティングの悪い例と言える。第一文で、「食べ物は私たちの胃を満たすだけではない。感情も満たすものだ」と述べている。形式的にはこれが topic sentence となっていて、パラグラフ全体で「食べ物が果たす効果・役割」について述べていると推測される。ところが、第二文で、「エモーショナル・イーティング」 (感情的摂食) について説明し、第三文から感情的空腹と肉体的空腹の違いについて論じている。

 

第一文を読んだ時点で読者は、食べ物は人間が生きていく上で欠くことができないものであるが、単にそれだけではなく、心を豊かにしてくれるものである、ということを伝えようとしていると考えるのではないだろうか。生命維持という動物の本能に関わるだけでなく、更に昇華された高次元の欲求をも満たすのが食べ物である、という趣旨のパラグラフであると予感される。

 

ところが、第二文の "emotional eating" や第三文の "emotional hunger"、"physical hunger" あたりから、食べ物ではなく空腹について述べていて、これがパラグラフの主題であることがわかってくる。 "emotional hunger" と "physical hunger" の違いが具体例を挙げて検証され、最終的に "emotional hunger" は食べ物では満たされないものだ、としている。

 

第一文で「食べ物は感情を満たすものだ」と言っておきながら、最終的に"emotional hunger" は食べ物では満たされない、と述べている。同一パラグラフの最初と最後で矛盾したことを言っている。結局、著者が何を主張したくてこの文章を書いたのかという根本的な疑問が生じてしまう。

 

おそらく著者は、"emotional hunger" について書きたかったのに考えが上手くまとまらないままに書き始めてしまい、パラグラフ構成に失敗してしまったと思われる。あるいは、何か出典があって、元々数パラグラフに及ぶ文章だったものを無理やり1つのパラグラフに書き換えてしまったのかもしれない。書き換えた人の力量が足りなかったためにまとまりのない文章が出来上がってしまったのかもしれない。ムリをせず、"emotional hunger" だけのパラグラフにすれば良かったのではないだろうか。

 

いずれにしても、明らかな失敗作の文章をセンター試験の問題文として採用したことは、今後の問題作成における修正課題である。

 

※ 本問題文のパラグラフ構成と問題点は下記のとおりである。 

パラグラフ構成

- topic sentence: 食べ物は食欲と感情を満たす

- supporting sentences: 空腹には感情的空腹と肉体的空腹の2種類があり、その2つには顕著な違いがある

- concluding sentences: 感情的空腹は、食べ物で感情が満たされることはない

 

問題点

- topic sentence で、食べ物について述べておきながら、その後は一貫して空腹について論じている。topic sentence とパラグラフ全体の内容が噛み合っていない。

 

- topic sentence で「食べ物は感情を満たす」と言い切っているにも関わらず、concluding sentences で「感情的空腹は食べ物で完全に満たされることはない」、「空腹を起こした感情はその後も残る」と述べている。同じパラグラフの中で矛盾があり、論旨が破綻している。 

 

【全訳】

  食べ物は、私達の胃袋を満たす以上のことができる。感情も満たすのだ。もし、空腹でないときにそのような感情を食べ物で満たそうとしているのなら、それは感情的摂食とされるものだ。感情的空腹と肉体的空腹にはいくつか著しい違いがある。①感情的空腹と肉体的空腹はどちらも食べ物で排除しようとする満ち足りなさの合図である。 ②感情的空腹は突然起こるのに対して、肉体的空腹は徐々に現れる。感情的空腹は食べたいもので即座に対処しなければならないように感じられるのだが、肉体的空腹は待つことができる。感情的摂食は後に罪悪感が残るが、肉体的空腹による食事はそのようなことはない。 感情的空腹は食べ物で完全に満たされることはない。食べているときは気分が良いかもしれないが、空腹感を引き起こした感情は残ったままである。

 

【単語】  

stomachマック]/stˈʌmək/ (胃)、

satisfyリスファイ]/sˈæṭɪsfὰɪ/ (〜を満たす、満足させる)

feelingフィーリン]/fíːlɪŋ/ (感情)、

hungryングリ]/hˈʌŋgri/ (空腹な)

emotionalウショナウ]/ɪmóʊʃ(ə)nəl/ (感情的な)

emotional eatingウショナウーリン]

 

※ 日本語では、"emotional eating" について一般的に決まった訳語はないようである。カタカナで「エモーショナル・イーティング」と表現したり、「感情的摂食」、「やけ食い」などとすることが多いようだ。本文にも説明があるが、お腹が空いているわけでもないのに、欲求不満やストレスなど、様々な心理的要因で食欲を制御できずに食べ物を食べてしまうことを意味する。

 

hungerンガァ]/hˈʌŋgɚ/ (空腹、飢え)、

significantスィグフィカントゥ]/sɪgnífɪk(ə)nt/ (著しい、重用な)

physicalフィズィカウ]/fízɪk(ə)l/ (肉体の)、

signalスィグナウ]/sígnl/ (合図)

emptinessンプティネス]/ɛ́mptinəs/ (空虚、空腹)

 

※ 英語では、心が満たされない「空虚感」と胃の中が空になった「空腹感」のどちらも 同じ "emptiness" で表すことができる。日本語では、英語と違って心が満たされない状態と空腹の状態の両方を意味する都合の良い単語はないようである。上の【全訳】では、少しぎこちないが、「満ち足りなさ」という表現にした。

  

eliminateミネイトゥ]/ɪlímənèɪt/ (〜を排除する)、

suddenlyンンリィ]/sˈʌdnli/ (突然に)

occur[アカー/əkˈɚː/ (起こる)、

gradually[グジュアリ/grˈædʒuəli/ (徐々に)

dealディーウ/díːl/ (対処する)、

be dealt with (〜で対処される)

instantlyンスタントゥリ/ínstəntli/ (即座に)、

leave behind (〜 を残す)

guiltルトゥ/gílt/ (罪悪感)、

fullyリィ/fˈʊli/ (完全に)

causeーズ/kˈɔːz/ (〜を引き起こす)

 

C    次の会話は、「異文化理解」をテーマとして、ある大学で行われた授業でのやりとりの一部である。       32        〜        34       に入れるのに最も適当なものを、それぞれ下の① 〜 ④のうちから1つずつ選べ。

 

 

Professor:  Good morning.  I'm sure everyone did the homework reading, so I want to begin today's class on 

               intercultural communication.  My first question is "Why do we need to study intercultural

               communication?"  Would anyone like to answer?

Student 1:  Yes, I'll try to answer that.  People may think the way they do things or the way they view the

               world is "natural" and "correct."  When they encounter someone doing things differently, they

               regard it as "strange" or "wrong."  Having an awareness of intercultural communication can help us

               understand and deal with misunderstandings when they arise.  I think it is especially important these

               days because people travel overseas for many reasons, such as work, study, or vacations.  The

               opportunities to meet people from other countries have increased greatly.  With this increased

               contact, there are more chances for trouble between people from different cultures.

Professor:  Right.  As you said, studying intercultural communication is useful because        32       .

 

① intercultural knowledge encourages people to study in a foreign country

② some ways of living are considered to be more correct than others

③ there were many more cases of intercultural communication in the past

④ we can cope with cultural misunderstanding more easily and smoothly

 

正解: ④

 

大学の授業における教授と学生の問答を題材として、文脈に合う発言内容を選択する問題。内容はそれほど難しくないが、まとまった見解を述べた少し長めの文章をすばやく的確に捉えられるかが試される。学生が解答した内容を教授がまとめる中で、異文化間コミュニケーションについて学ぶことが役に立つ理由を選択肢の中から選ぶ設問になっている。

 

学生が異文化間コミュニケーションを学ぶ意義について述べているのは、

 

Having an awareness of intercultural communication can help us understand and deal with misunderstandings when they arise.

(異文化間コミュニケーションについて知ると、誤解が生じたときにそれを理解し、対処する手助けとなる)

 

の文である。この内容に合致しているのは ④「文化に基づいた誤解に、より容易で円滑に対処できる」である。したがって、これが正解となる。

 

他の選択肢はどれも教授から解答として求められている「異文化間コミュニケーションを学ぶことが役に立つ」理由にはあたらないので不正解である。さらに、各選択肢は本文で学生が述べている内容とは以下の通り食い違いが見られる。

 

①「異文化間の知識により、人々の海外留学が促進される」

(「異文化について知ると、海外留学への関心が強くなる」という意味)

 

この選択肢は、本文中の下記の箇所に関連している。

 

I think it is especially important these days because people travel overseas for many reasons, such as work, study, or vacations.

(今日、人々は仕事や勉強、休暇を過ごすためなど様々な理由で海外に行くので、それ(異文化コミュニケーションについて知ること)は特に重要だと思う)

 

ここでは、「人々が仕事、勉強、旅行など様々な目的で海外に行くことが多くなった」ので、異文化コミュニケーションを学ぶことがより重要になったということを指摘している。様々な理由で人々が海外を訪れるので異文化コミュニケーションについて知ることが重要だと述べているのに対して、選択肢 ① では、異文化を知ることで「留学」が促進されていることが述べられている。内容がうまく噛み合っていない。

 

②「一部の生活様式は他に比べてより正しいと考えられている」

 

これは、本文中の下記の箇所に関連している。

 

People may think the way they do things or the way they view the world is "natural" and "correct."  When they encounter someone doing things differently, they regard it as "strange" or "wrong."

(人々は、自分たちの物事のやり方や世界の見方が「自然」で、「正しい」と考えているかもしれない。違うやり方をしている人に出会うと、人はそれを「奇妙」で、「間違っている」とみなす)

 

一般論として、人は自分の価値観が「自然」で「正しい」ものだと考えることがあり、それとは相容れない状況に遭遇すると、「変わっている」、「間違っている」と判断してしまう、と述べている。ただし、これは学生がすぐ後で述べている "misunderstanding" (誤解) にあたるものなので、主張したい内容とは違う。

  

※ 本文中では触れられていないが、このような考え方を "ethnocentrism" (自文化中心主義)という。自分たちが知っている方法や様式が「自然」で「正しい」、あるいは「優れている」と考えがちである。これと対極にある考えが "cultural relativism" (文化相対主義) である。国際化、異文化理解などを扱う際の重用な概念なので覚えておくと良い。

 

③「以前は異文化間コミュニケーションの事例がもっと多かった」

 

本文中の下記の箇所に関連している。

 

The opportunities to meet people from other countries have increased greatly.  With this increased contact, there are more chances for trouble between people from different cultures.
(他国の人々と会う機会が大幅に増えた。この接触の増加で、違う文化の人たちの間で問題が発生することが増えている。)

 

本文では、(以前よりも今の方が)異文化間の問題が増えている、と述べているが、選択肢は以前は異文化コミュニケーションが多かった(今は減っている)となっている。内容が一致しないので不正解と判断する。 

 

 

Professor:  Let's move on to the concept of "culture."  You should know that because culture is all around us

               all the time, it is difficult to define.  Therefore, we tend to discuss culture in terms of characteristics.  

               Can anyone give an example of a cultural characteristic?

Student 2:  The characteristic I found interesting is that people belonging to a culture have the same value,

               beliefs, and behaviors.  Values are things that are felt to be of worth, like the Japanese concept of

               "mottainai."  Beliefs are things that people believe to be true, and these cover a wide variety of

               areas.  For example, people in a culture might share beliefs about the kinds of foods that are

               unacceptable.  Behaviors is about people's actions, and people in the same culture can often be seen

               behaving similarly.

Professor:  That's a good explanation.  That means        33       .

 

① having the same beliefs as other cultural groups is important

② people from the same cultural group usually behave differently

③ people's attitudes to food determine which cultures they are from

④ shared behaviors may make you a member of a cultural group

 

正解: ④

 

学生が「文化」の特性について説明し、その内容に合うものを選ぶ問題。文化の特性として、価値観、信条、ふるまいに共通点があると指摘している。

 

学生の発言の第一文が設問に関わる部分で、第二文以下は価値観、信条、ふるまいについての説明である。

 

The characteristic I found interesting is that people belonging to a culture have the same values, beliefs, and behaviors.

(私が興味深いと感じた特性は、ある文化に属する人たちは同じ価値観や信条を持ち、共通したふるまいがあるということです)

 

※ 英語では、values, beliefs, behaviors の全てに対して 動詞 "have" を使って "have the values, beliefs, and behaviors" のように言うことができるが、日本語では価値観、信条、ふるまいの全てに対して共通して使える動詞がないので、上記の訳のように「価値観を持つ」、「信条を持つ」、「ふるまいがある」とした。

 

上記の発言に最も近いのは、④「共通したふるまいをすることで、人は文化集団の一員となるかもしれない」

 

である。学生はあくまで、「ある文化に属する人たちのふるまいに共通点がある」ということを述べているだけで、選択肢 ④ のように「同じふるまいをすることでその文化の一員になるかもしれない」とは言っていないが、他の選択肢が解答としてより不適切だという消極的理由でこれが正解となる。良問とはいえない。

 

他の選択肢が不正解である理由は下記の通り。

 

①「ほかの文化集団と同じ信条を持つことは大切である」

 

学生は、ある文化集団に属する人たちは同じ信条を持つということを言っている。他の文化集団のことや、何が大切かという価値判断については述べていないので不正解である。

 

②「同じ文化集団の人々は、通常、違うふるまいをする」

 

本文では同じ文化集団の人々は、共通のふるまいをすると述べている。選択肢の内容とは全く逆であり、明らかに不正解である。

 

③「食べ物に対する人々の態度でその人がどの文化に属するかが決まる」

 

"belief" (信条) に関する説明の中で、

people in a culture might share beliefs about the kinds of foods that are unacceptable.

(ある文化の人々は、受け入れられない食べ物の種類について共通の信条を持っているかもしれない)

と述べている。文化 (あるいは宗教) によっては、「牛は神の使いだから食べてはいけない」とか、「豚は不浄だから食べてはいけない」という信条があるようだが、"might" (かもしれない)と述べているだけで、食べ物に関する態度だけで文化を決定できるとまでは言えない。(例えば、日本文化を決定づける食べ物への態度はあるだろうか?)したがって不正解とする。

 

 

Student 3:  Can I ask a question?

Professor:  Of course.

Student 3:  What about people who always seem to be different from those around them?  Sometimes I don't

               do things in the same way as my friends.  So, if we need to have the same behavior for group

               membership, does that mean those who are not the same aren't members of their cultural group?

Professor:  That's a good question.  To answer it we need to think in terms of cultural norms rather than

               individual examples.

Student 3:  What is a cultural norm?

Professor:  Well, a cultural norm is a rule or standard of behavior shared by members of a cultural group.

Student 3:  Then what happens to the people who do not follow the cultural norms?

Professor:  Well, they may belong to a smaller group, or a sub-cultural group, but that group is still

               considered to be part of the culture.  This is true as long as their actions are within the acceptable

               limits of behavior for that particular culture.

Student 3:  So, am I right in thinking that        34       .

 

① a culture contains groups that make up one larger group

② acting differently isn't allowed for group membership

③ it is important to be in the group that follows the cultural norms

④ the members of sub-cultural groups should be limited

 

正解: ①

 

問33までは文化における共通点について述べられたが、学生3がそれとは逆に同じ文化の中でも違った行動をすることがあると指摘し、同一文化内での違いについて議論が及ぶ。"cultural norm" (文化規範) に従わない場合についての下記の説明が設問に関わる箇所である。

 

Well, they may belong to a smaller group, or a sub-cultural group, but that group is still considered to be part of the culture.

(ええと、彼らはより小さな集団、つまり下位文化集団に属するかもしれない。だが、その集団も文化の一部とみなされる)

 

この説明に一致するのは ①「文化の中には複数の集団があり、それがより大きな集団を構成している」である。したがってこれが正解である。

 

他の選択肢が不正解である理由は下記の通り。

 

②「他の人と違う行動をすることは集団の一員として許されない」

 

これは上記の教授の説明、及びそれに続く下記の説明と相反するので不正解である。

 

This is true as long as their actions are within the acceptable limits of behavior for that particular culture.

(彼らの行動がその文化で許容される範囲であればこれに当てはまります)

 

他の人と行動が違っていたとしても、その文化で許される範囲内であれば下位文化として、その集団の一員とみなされる、と述べている。

 

③「文化規範に従う集団に属することが重用である」

 

文化規範に従う集団に属することが重用かどうかという価値判断については触れられていないのでこれも不正解である。独裁国家などであればこのような教育が行われるかもしれないが、通常の先進国家であればこのようなことは常識的にも考えられない。

 

④「下位文化集団の数は制限されるべきだ」

 

このようなことは一切述べられていないので不正解である。常識的にもこれが正しいとは考えられない。

 

選択肢①以外は常識的にありえないので、結果的に本文を読むまでもなく正解を選ぶことができる。

 

 

【全訳】

教授:おはよう。みんな宿題を読んできたと思うので、今日の異文化コミュニケーションの授業

  はじめます。最初の質問は、「なぜ私たちは異文化コミュニケーションを学ぶ必要があるか」

  ということです。だれか答えたい人はいますか。

学生1:はい。私が答えてみます。人々は、自分たちの物事のやり方や世界の見方が「自然」で、

  「正しい」と考えているかもしれません。違うやり方をしている人に出会うと、人はそれを

  「奇妙」で、「間違っている」とみなします。異文化間コミュニケーションについて知ると、

  誤解が生じたときにそれを理解し、対処する手助けとなります。今日、人々は仕事や勉強、休

  暇を過ごすためなど様々な理由で海外に行くので、それは特に重要だと思います。他国の人々

  と会う機会が大幅に増えています。この接触の増加で、違う文化の人たちの間で問題が発生す

  ることが増えています

教授:その通り。君が言ったように異文化間コミュニケーションを学ぶことは役に立ちます。その

  理由は、④ 文化に基づいた誤解に、より容易で円滑に対処できるからです。

 

 

教授:「文化」の概念に進みましょう。文化は常に私達を取り巻くものなので、定義することが難

  しいということは分かっているはずです。そのため、文化をその特性の観点から議論する傾向

  があります。だれか文化的特性の例を挙げられますか。

学生2:私が興味深いと感じた特性は、ある文化に属する人たちは同じ価値観や信条を持ち、共通

  したふるまいがあるということです。価値観とは、日本語の「もったいない」という概念のよ

  うに値打ちがあると感じられるものごとのことです。信条とは、人々が真実だと信じているこ

  とで、その範囲は多岐に及びます。例えば、ある文化の人々は、受け入れられない食べ物の種

  類について共通の信条を持っているかもしれない。ふるまいとは、人々の行動のことで、同じ

  文化の人たちはしばしば似たようなふるまいをすることが見られます。

教授:良い説明ですね。つまり、④ 共通したふるまいをすることで、人は文化集団の一員となる

  かもしれないということです。

 

 

学生3:質問してもいいですか。

教授:もちろんです。

学生3:周囲の人たちといつも違っている人たちはどうなんですか。時々、私は何かをするときに

  友達と同じようにしないことがあります。それで、もし集団の一員であるために同じふるまい

  をする必要があるのなら、同じでない人は文化集団の一員ではないということですか。

教授:良い質問ですね。その質問に答えるには、個別の例ではなく、文化規範の観点で考える必要

  があります。

学生3:文化規範とはなんですか。

教授:えー、文化規範とは、文化集団の仲間に共有されている行動の規則や基準のことです。

学生3:では、文化規範に従わない人たちはどうなるのですか。

教授:ええと、その人たちはより小さな集団、つまり下位文化集団に属するかもしれません。それ

  でも、の集団はその文化の一部とみなされます。彼らの行動がその文化で許容される範囲内

  であれば、そのようにそのように言えます。

学生3:ということは、① 文化の中には複数の集団があり、それがより大きな集団を構成してい

  と考えて良いのですか。

教授:その通り。これであなたの疑問を解消できたと思います。よろしい。話を進めて文化の違っ

  た特性について考えていくことができそうですね

 

 

【単語】 

interculturalインタールチュラウ]/ɪ̀ntɚkʌ́ltʃɚəl/ (異文化間の)、

encounterエンウンタァ]/ɪnkάʊnṭɚ/ (〜に出会う)、

regardードゥ]/rɪgάɚd/ (〜をみなす)

※ 本文中では、"regard A as B" (A を B とみなす)の形で使われている

 

awarenessウェアネス]/əwɛ́rnəs/ (〜に気づいていること、〜を知ること)

※ "have an awareness of 〜" ハバナウェアネスソブ]は、文字通り訳すと、「〜に気づいているとこを持っている」という意味になる。つまり、「〜を知っている」という意味である。

 

dealディーウ/díːl/ "deal with" の形で (〜に対処する)、

misunderstanding[ミスンダァスンディング/mìs`ʌndɚstˈændɪŋ/ (誤解)、

arise [アイズ/ərάɪz/ (〜が起こる、生じる)

 

※ "understand and deal with misunderstandings when they arise" は、省略せずに書くと、

"understand misunderstandings and deal with misunderstandings when misunderstandings arise" となる。

これを文字通り訳すと、「誤解を理解し、誤解に対処する、誤解が起きたときに」となり、したがって「誤解が生じたときにそれを理解し、対処する」となる。

 

especially[エスシャリィ/espéʃəli/ (特に)、

overseas[オウバスィーズ/òʊvɚsíːz/ (海外へ)、

opportunity[オポチュニティ/ὰpɚt(j)úːnəṭi/ (機会)

greatly[グイトゥリィ/gréɪtli/ (大いに)、

contactンタクトゥ/kάntækt/ (接触、ふれあい)、

chanceチャンス/tʃˈæns/ (機会、見込み)、

knowledgeレッジ/nάlɪdʒ/ (知識)、

consider[カンスィダァ/kənsídɚ/ (〜と考える、みなす)、

in the past[インザストゥ (過去に)、

copeウプ/kˈəʊp/ (うまく対処する)

 

move on[ムー(先に進む)、

conceptンセプトゥ/kάnsept/ (概念)、

define[ディファイン/dɪfάɪn/ (定義する)、

thereforeアフォオ/ðéɚfɔɚ/ (したがって、それ故)、

tendンドゥ/ténd/ (傾向がある)

※ 本文中では、"tend to 〜" 「〜 する傾向がある、〜 しがちである」の形で使われている

 

termーム/tˈɚːm/(用語、言葉) "in terms of" で、「〜 の観点から」の意味になる

characteristicキャラクタリスティック/k`ærəktərístɪk/ (特質)、

valuesリュー/vˈæljuː/ (価値)

※ 複数形の "values" で「価値観」の意味

 

belief[ビーフ/bəlíːf/ (信条、信念)、

behavior[ビイビア/bɪhéɪvjɚ/(ふるまい、行動)、

worthース/wˈɚːθ/ (〜の価値がある、値打ちがある)、

shareシェ/ʃéɚ/ (共有する)、

unacceptable[アナクプタブウ/`ʌnəkséptəbl/ (受け入れられない)

 

normーム/nˈɔɚm/ (規範)、

standard[スンダードゥ/stˈændɚd/ (基準)、

followフォロウ/fάloʊ/ (〜に従う)、

sub-culturalサブウチュラウ]/sˈʌbkˈʌltʃ(ə)rəl/(下位文化の)、

limitミットゥ/límɪt/ (範囲)、

particular[パティキュラァ/pɚtíkjʊlɚ/ (特定の)、

clear 〜 up (〜を解決する)

 

be ready to 〜「〜の準備ができている、いつでも〜できる」