th の発音

"th" の発音を初めて学校で習うとき、よく「舌を噛んで発音する」と説明される。今は教え方が変わっているのかもしれないが、私が中学生のときはそうだった。

 

先生が授業でそう説明すると、少し沈黙があって、その後、教室中で一斉に笑いが起こる。「そんなこと出来るわけがない」と皆が思うからだ。

 

この反応は至極当然のことである。この発音をする度にいちいち舌を噛んでたらまともに喋ってられない、とか、そもそも舌を噛んだら痛い、とか、そんな当たり前のことを考えるからだ。

 

しかも、とりあえずそのようなよくわからない説明を受けて数回練習した後は発音が間違っていようが一向にお構いなしで授業が進む。せっかく単語の発音練習とか、文の音読とかやるのに、"th" の発音が正しくない、と指摘されたり、正しい発音に矯正されたりすることはない。"th" と "s" を聞き分ける練習もしない。

 

現在の中学、高校も状況はそれほど変わっていないのではないだろうか。 多くの日本人が "think" (考える) と "sink" (沈む) を聞き分けられない、発音できない、という状態が続いているように思われる。

 

では、"th" を簡単に正しく発音するにはどうしたら良いのだろうか。

 

"th" の音を正しく出すためには、「上下の歯で舌を挟む」のではなく、上の前歯の先に舌先をつけることが大切である。その状態で「さしすせそ」、「ざじずぜぞ」と言えば "th" の発音がうまくできる。舌の両脇から息が抜けるのを感じるはずだが、その「吐息」が "th" の音である。

 

慣れないうちは、息が舌の脇から漏れているような感じがして、うまく発音できていないように感じるかも知れない。しかし、舌先を歯先にきちんと付けていれば正しく発音できるので繰り返し練習するようにしよう。

 

意識して発音練習を繰り返していると、その発音が次第に身についていく。そうすると、日本語にはない吐息の発音が "th" の音だということが身についてくるので、リスニングでも "th" の発音のが聞き取れるようになる。

 

"think" と "sink" を聞き分けられるようになるまで、根気よく発音練習を繰り返して欲しい。